展示品>館長室たより 2010年 |
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館長の仕事(近況報告) |
当館は、三島由紀夫を対象作家として、2008年3月に個人で開設した文学館です。個人で運営していますので、館長の仕事は多岐にわたっています。総務、管理、企画など、組織であればしかるべき所属で対応している業務をすべて一人でこなしています。 (隠し文学館 花ざかりの森 館長)
全国文学館協議会会報 第48号(2010年10月22日発行) 寄稿 |
三島由紀夫の評論「批評家に小説がわかるか」 |
「よみがえる三島由紀夫展Ⅱ」(二〇〇九年三月)は三島の直筆草稿「批評に対する私の態度」が書かれた経緯を探った。 批評家への注文 この三島の発言が波紋を呼び、特に評論家の亀井勝一郎が昭和二十六年六月二日の「東京新聞」で猛烈に反発した。 批評の確立のために 小説に對する私の態度 龜井勝一郎 亀井の語調はなお衰えていない。 批評に対する私の態度 三島由紀夫 この時、三島由紀夫は二十六歳、小説家の大岡昇平は十六歳年長の四十二歳、評論家の亀井勝一郎は十八歳年長の四十四歳であった。三島の、文壇の先輩とも対等であろうとする自負心がうかがえるとともに、批評と小説の、言葉に対する厳密で潔癖な姿勢が注目される。 これで論争は一応終息したように見えたが、その後日談がある。 受賞について 三島由紀夫 〔選後評〕 龜井勝一郎 更に翌三十一年、「金閣寺」が「一九五六年ベスト・スリー」に選ばれた。同年十二月二十五日の「讀賣新聞」の夕刊では、荒正人、伊藤整、臼井吉見、亀井勝一郎、河盛好蔵、高橋義孝、平野謙、本多顕彰、山本健吉、吉田健一の十人すべてが『金閣寺』に一票を投じ、これをまとめた中村光夫も、〈古典の風格〉と高く評した、と報じた。 隠し文学館花ざかりの森は、今後とも三島の著作を当時の文壇の状況の中で捉えるため、周辺資料の収集にも努めていきたい。 (館長 杉田欣次)
主な参考文献資料等 全国文学館協議会 紀要三号 (二〇一〇年三月三十一日発行) 寄稿
※「紀要」は縦書きですが、都合により横書きしにてあります。 |
地図の複写と著作権 |
2010年3月からの「新資料でよみがえる三島由紀夫展Ⅲ」は、「『潮騒』の成立をめぐって」をテーマに開催します。「『潮騒』の―」では、小説「潮騒」の初版本はもちろん、「潮騒」に関する三島直筆の随筆草稿2編や初出関係資料、映画ポスター、DVD、VHSなど、当館で準備できる基本的な資料は揃えました。 |
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